2022年8月24日に行われたGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議において、岸田首相が設置許可済みの原発再稼働に向け、国が前面に立ってあらゆる対応を採ると明言し、運転期間の延長など、既設原発の最大限の活用、次世代革新炉の開発・建設などについて検討を加速するよう指示しました。
2022年8月29日、当連絡会はこれに対し強く抗議し、撤回を求める抗議文を提出しました。
2022年8月29日
内閣総理大臣
岸田 文雄 様
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川 守弘
抗議文
2022年8月24日に行われたGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議において、岸田首相が設置許可済みの原発再稼働に向け、国が前面に立ってあらゆる対応を採ると明言し、運転期間の延長など、既設原発の最大限の活用、次世代革新炉の開発・建設などについて検討を加速するよう指示したことに強く抗議し、撤回を求めます。
設置許可済みの原発7基は事故対策工事や地元同意の手続きが進んでいません。またそれぞれの原発で住民による訴訟が起こされ、東海第二原発は「運転差し止め」の一審判決を受けています。そのような状況において原発再稼働に向け「あらゆる対応を採る」と明言することは、原発事故対策を軽んじ、また地方自治と住民の意思と司法の独立を蔑ろにするものであり、許されることでありません。
同じく運転期間の延長は大きな危険を伴い、住民の安全・安心が犠牲になります。また運転延長に関し政府が原子力規制委員会に対して干渉することは絶対にあってはなりません。
そして次世代革新炉の開発・建設について語ることは、原発の新増設やリプレース(建て替え)は想定しないとしたエネルギー政策の基本方針の転換であり、決して容認できません。
東京電力福島第一原発事故により、原発事故が及ぼす被害の余りの深刻さに日本中が震撼しました。東京を含む東日本一帯が壊滅していたかもしれないのです。岸田首相はその時の衝撃を忘れたのでしょうか。
原発事故により故郷と生業を奪われ、避難生活を余儀なくされた福島の住民の姿をニュースで見るたびに、国民の多くはこのようなことをもう二度と起こしてはならないと思いました。私たちが住む北海道では、原発事故後、農漁業とそれを基盤とする製造業、観光業が大打撃を受けました。あんなことはもうごめんだと多くの道民が思っています。
また、原発を動かせば動かしただけ「死の灰」が生まれ、「核のゴミ」が増えます。「核のゴミ」処分場建設のための調査が、北海道知事および道民の同意なく進められている北海道の住民にとって、原発再稼働をさらに推し進めようとする岸田首相の姿勢は、とうてい受け入れることができません。
原発を再稼働させることに対しては、世論が二分されています。ましてや原発新設やリプレースへのエネルギー政策の転換は、あまりに乱暴で、国民の思いを蔑ろにするものです。
以上の理由により、私たち「泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会」は、8月24日に行われたGX実行会議での原発に関する岸田首相の指示に強く抗議し、撤回を求めます。