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2022/12/23 抗議文を提出「岸田政権の性急な原発推進政策への大転換に抗議しその撤回を求めます」

 2022年12月22日、岸田首相は自らが議長を務めるGX(グリーントランスフォーメション)実行会議において、原子力発電所の建て替えや新設、革新炉の設置に加え、審査などによる停止期間を運転年数から除くことで原発の実質60年以上の稼働を可能にする政府方針案を決定しました。

 12月23日、当会は岸田首相、西村経産大臣に対し、この暴挙とも言うべき政府方針案決定に厳重に抗議し、その撤回を求める抗議文を提出しました。


岸田政権の性急な原発推進政策への大転換に抗議しその撤回を求めます

 

2022年12月23日

内閣総理大臣 岸田 文雄 様

泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川守弘

 

 12月22日、岸田首相は自らが議長を務めるGX(グリーントランスフォーメション)実行会議において、原子力発電所の建て替えや新設、革新炉の設置に加え、審査などによる停止期間を運転年数から除くことで原発の実質60年以上の稼働を可能にする政府方針案を決定しました。わたくしたちは以下の点から、この暴挙とも言うべき政府方針案決定に厳重に抗議し、その撤回を求めるものです。
 
1.国民の声に耳を傾けず、福島第一原発事故以来の原発政策の大転換を僅か4カ月で進めようとしていることに抗議し、その撤回を求めます
 
 2011年の福島第一原発事故を機に、原発の安全規制強化の一環として原子炉等規制法が大幅に見直され、同時に安全規制行政を担う新たな組織として原子力規制委員会が2012年に発足しました。同法は当時野党であった自民党が提案し、与野党合意の議員立法で成立しましたが、その立法趣旨が原発からの緩やかな撤退であったことは、当時の国会の議事録に明らかです。また2011年以降、報道機関による多くの世論調査では過半が原発継続に否定的であり、歴代政権も原発抑制政策を採ってきました。
 しかし、8月24日の岸田首相のGX会議での唐突な原発政策方針転換発言を皮切りに、原子力規制委員会山中委員長による原子炉等規制法の原則40年ルール削除の容認発言、経産省による原発運転期間についての「現状維持」「上限撤廃」「運転停止期間を運転期間から除外」の三案提示、そしてこの度の政府方針案決定まで、僅か4ヶ月たらずの間に何ら国民の声を聞こうともせず、福島第一原発事故以来の原発政策の大転換が進められようとしています。このように乱暴で強引な原発政策の大転換に対し強く抗議し、その撤回を求めるものです。
 
2.原子炉圧力容器の耐用年数は40年であるという事実を無視した運転期間延長と、運転停止期間を運転期間から除外する方針に抗議し、その撤回を求めます
 
 運転制限期間を原則40年とする問題では、既設炉のほとんどが原子炉圧力容器(RPV)の中性子照射脆化の想定年数を40年と申請しています。また、プラントの起動・停止の繰り返しによる疲労評価は多く40年間の運転期間を仮定しています。当然ながら、原発は運転休止中においても経年劣化はRPVばかりではなく、原発施設内に設置されている配管(細管)、ケーブル、ポンプ、弁、防水施工など各設備・部品などにも進みます。12月13日の『北海道新聞』は、北海道電力が泊原発建設前の1981年に地域住民との意見交換の場で「原発の寿命は設計の上では30年~40年」と説明していたことを報じています。また、福島第一原発4号機などのRPVの設計に関わった田中三彦氏は、RPVは運転40年を前提に建設され、交換もできないと明言しています。金属材料が専門の井野博満東大名誉教授は、中性子照射脆化について「40年超の運転延長は取得データーがなく未知の領域であり」「(規制委員会の審査は)地震のない国と(日本のような)地震国の問題を同じように計算していて、想定が二重三重に過小評価されている」と規制委員会の審査の危うさを語っています。10月5日の山中規制委員長の「一義的な(運転期間)の上限を決めるのは技術的に不可能」などという発言は規制委員会の職務を放棄する態度であり、RPVの耐用年数は、およそ40年であるという設計上の現実に目を瞑るものです。これはまさしく科学・技術的な問題なのです。また、11月9日の記者会見では、「世界最長の原発の運転はインドの53年か」という記者の質問に「私の知る限り米国で何基か60年超の原発が動いているという認識だ」と答弁していますが、実際は記者の言うとおりだとその場で事務方が補足しています。このような規制委員長の認識の下での老朽原発の運転期間延長は、極めて大きなリスクに国民を曝すものであって、わたくしたちは到底これを受け入れることは出来ません。その撤回を求めるものです。
 
3.脱炭素社会への要求や、ウクライナ戦争によるエネルギー危機を口実とした原発政策の大転換に抗議し、その撤回を求めます
 
 政府は、世界的に脱炭素社会の要求が高まっていることやウクライナ戦争によるエネルギー危機を口実に運転期間延長や「次世代」「革新」などと銘打った原発の新設を方針としています。しかし、次世代原発と政府が呼んでいる改良型原発は設計から稼働まで平均して10年以上を要し、現在、脱炭素社会実現のために喫緊に要求されている30年温室効果ガスの46%削減にはとても間に合いません。これらは原発延命の口実であり真のエネルギー対策にはほど遠いものです。原発が自然再生エネルギーよりも高コストであることは既に政府が認めていますが、原発は運転中以外の(ウラン採掘から原子炉の建設、廃炉に及ぶ)あらゆる局面で温室効果ガスを排出し、放射性物質を放出し、最終的に人類の手に余る「核のゴミ」を出し続けます。
 さらに、この度のロシアのウクライナ侵攻では原発占拠や攻撃によって、原子力施設は、国際安全保障上ターゲットになり得る危険な存在であることが世界に示されました。いったん原発への攻撃が行われたり、過酷事故を起こしたりすれば、豊かな国土とそこに暮らす人々の命と暮らしを奪ってしまいます。そのような原発を「環境のために」選択することを決して容認できません。わたくしたちは、東京電力福島第一原発事故への反省をかなぐり捨て、国民の声を無視し、原発推進派(原子力ムラ)の人々のみの声を聞いて、性急に原発政策の大転換を図る、岸田政権の今回の原発回帰政策方針案決定に対し、満腔の怒りをもって抗議し、その撤回を改めて要求するものです。

以上



岸田政権の性急な原発推進政策への大転換に抗議しその撤回を求めます

 

2022年12月23日

経済産業大臣 西村 康稔 様

泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川守弘

 

 12月22日、岸田首相は自らが議長を務めるGX(グリーントランスフォーメション)実行会議において、原子力発電所の建て替えや新設、革新炉の設置に加え、審査などによる停止期間を運転年数から除くことで原発の実質60年以上の稼働を可能にする政府方針案を決定しました。わたくしたちは以下の点から、この暴挙とも言うべき政府方針案決定に厳重に抗議し、その撤回を求めるものです。
 
1.国民の声に耳を傾けず、福島第一原発事故以来の原発政策の大転換を僅か4カ月で進めようとしていることに抗議し、その撤回を求めます
 
 2011年の福島第一原発事故を機に、原発の安全規制強化の一環として原子炉等規制法が大幅に見直され、同時に安全規制行政を担う新たな組織として原子力規制委員会が2012年に発足しました。同法は当時野党であった自民党が提案し、与野党合意の議員立法で成立しましたが、その立法趣旨が原発からの緩やかな撤退であったことは、当時の国会の議事録に明らかです。また2011年以降、報道機関による多くの世論調査では過半が原発継続に否定的であり、歴代政権も原発抑制政策を採ってきました。
 しかし、8月24日の岸田首相のGX会議での唐突な原発政策方針転換発言を皮切りに、原子力規制委員会山中委員長による原子炉等規制法の原則40年ルール削除の容認発言、経産省による原発運転期間についての「現状維持」「上限撤廃」「運転停止期間を運転期間から除外」の三案提示、そしてこの度の政府方針案決定まで、僅か4ヶ月たらずの間に何ら国民の声を聞こうともせず、福島第一原発事故以来の原発政策の大転換が進められようとしています。このように乱暴で強引な原発政策の大転換に対し強く抗議し、その撤回を求めるものです。
 
2.原子炉圧力容器の耐用年数は40年であるという事実を無視した運転期間延長と、運転停止期間を運転期間から除外する方針に抗議し、その撤回を求めます
 
 運転制限期間を原則40年とする問題では、既設炉のほとんどが原子炉圧力容器(RPV)の中性子照射脆化の想定年数を40年と申請しています。また、プラントの起動・停止の繰り返しによる疲労評価は多く40年間の運転期間を仮定しています。当然ながら、原発は運転休止中においても経年劣化はRPVばかりではなく、原発施設内に設置されている配管(細管)、ケーブル、ポンプ、弁、防水施工など各設備・部品などにも進みます。12月13日の『北海道新聞』は、北海道電力が泊原発建設前の1981年に地域住民との意見交換の場で「原発の寿命は設計の上では30年~40年」と説明していたことを報じています。また、福島第一原発4号機などのRPVの設計に関わった田中三彦氏は、RPVは運転40年を前提に建設され、交換もできないと明言しています。金属材料が専門の井野博満東大名誉教授は、中性子照射脆化について「40年超の運転延長は取得データーがなく未知の領域であり」「(規制委員会の審査は)地震のない国と(日本のような)地震国の問題を同じように計算していて、想定が二重三重に過小評価されている」と規制委員会の審査の危うさを語っています。10月5日の山中規制委員長の「一義的な(運転期間)の上限を決めるのは技術的に不可能」などという発言は規制委員会の職務を放棄する態度であり、RPVの耐用年数は、およそ40年であるという設計上の現実に目を瞑るものです。これはまさしく科学・技術的な問題なのです。また、11月9日の記者会見では、「世界最長の原発の運転はインドの53年か」という記者の質問に「私の知る限り米国で何基か60年超の原発が動いているという認識だ」と答弁していますが、実際は記者の言うとおりだとその場で事務方が補足しています。このような規制委員長の認識の下での老朽原発の運転期間延長は、極めて大きなリスクに国民を曝すものであって、わたくしたちは到底これを受け入れることは出来ません。その撤回を求めるものです。
 
3.脱炭素社会への要求や、ウクライナ戦争によるエネルギー危機を口実とした原発政策の大転換に抗議し、その撤回を求めます
 
 政府は、世界的に脱炭素社会の要求が高まっていることやウクライナ戦争によるエネルギー危機を口実に運転期間延長や「次世代」「革新」などと銘打った原発の新設を方針としています。しかし、次世代原発と政府が呼んでいる改良型原発は設計から稼働まで平均して10年以上を要し、現在、脱炭素社会実現のために喫緊に要求されている30年温室効果ガスの46%削減にはとても間に合いません。これらは原発延命の口実であり真のエネルギー対策にはほど遠いものです。原発が自然再生エネルギーよりも高コストであることは既に政府が認めていますが、原発は運転中以外の(ウラン採掘から原子炉の建設、廃炉に及ぶ)あらゆる局面で温室効果ガスを排出し、放射性物質を放出し、最終的に人類の手に余る「核のゴミ」を出し続けます。
 さらに、この度のロシアのウクライナ侵攻では原発占拠や攻撃によって、原子力施設は、国際安全保障上ターゲットになり得る危険な存在であることが世界に示されました。いったん原発への攻撃が行われたり、過酷事故を起こしたりすれば、豊かな国土とそこに暮らす人々の命と暮らしを奪ってしまいます。そのような原発を「環境のために」選択することを決して容認できません。わたくしたちは、東京電力福島第一原発事故への反省をかなぐり捨て、国民の声を無視し、原発推進派(原子力ムラ)の人々のみの声を聞いて、性急に原発政策の大転換を図る、岸田政権の今回の原発回帰政策方針案決定に対し、満腔の怒りをもって抗議し、その撤回を改めて要求するものです。

以上