政府は、原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理法、再エネ特措法の5つを束ねた「GX脱炭素電源法(脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律)」を5月31日、国民的議論抜きで1か月足らずの期間で強引に参議院で可決し成立させました。
私たち国民はこれらの法律がどう変えられ、それがどういう意味を持つのかについて十分な説明を受けていません。
国民の未来を左右する法律の改定であるにもかかわらず、原子力政策の大幅な転換のための法律改定とは気づかれないような名前の、それも「束ね法」として審議されることに、多くの国民が強い疑念を表明し、この改定の問題点を指摘し、「GX脱炭素電源法案」の廃案を求めました。
にもかかわらず国民の疑問や安全性の不安に何一つ答えずに成立させられたこの改定法は、将来に禍根を残すものです。
2023年6月10日、当連絡会は今回の強行可決に強く抗議しその実施に反対する抗議文を提出しました。
「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案(GX脱炭素電源法案)」の強行可決に強く抗議し、その実施に反対します
2023年6月10日
内閣総理大臣 岸田 文雄 様
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川守弘
政府は、原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理法、再エネ特措法の5つを束ねた「GX脱炭素電源法」を5月31日、国民的議論抜きで1か月足らずの期間で強引に参議院で可決し成立させました。
私たち国民はこれらの法律がどう変えられ、それがどういう意味を持つのかについて十分な説明を受けていません。国民の未来を左右する法律の改定であるにもかかわらず、原子力政策の大幅な転換のための法律改定とは気づかれないような名前の、それも「束ね法」として審議されることに、多くの国民が強い疑念を表明し、この改定の問題点を指摘し、「GX脱炭素電源法案」の廃案を求めました。にもかかわらず国民の疑問や安全性の不安に何一つ答えずに成立させられたこの改定法は、将来に禍根を残すものとして私たちは強くこれに反対し抗議します。
改定原子力基本法は、改定の必要性に関する原子力委員会における十分な議論も、パブリック・コメントなどによる国民の意見を聞く手続きも踏まれず、「国の責務」が新設されました。このことはこれまでの政府の「原子力発電の依存度低減」から「原発回帰」に舵を切り、原発を最大限活用し、将来にわたり固定化、永続化することに道を開くもので断じて許されません。また「運転期間に係る規制は、(中略)原子力の安定的な利用を図る観点から措置する」第十六の二 第2項)とし、運転期間にかかる規制を利用に従属させ、さらに、国の「基本的施策」として、特定の企業である原子力事業者を過度に保護する内容となっており、絶対容認できません。
原子炉等規制法と電気事業法の改定は、原子力発電所の60年超運転を可能にすることにより国民を原発事故の危険とリスクに晒し続け、「安全と安心」を求める国民を脅かし続けます。今回改定法で、経済産業大臣が原発の運転期間の延長の認可を行う制度へと転換したことは、福島原発事故の根源的な原因である規制当局が電気事業者の「とりこ」になっていたことへの回帰であり、新たな「安全神話の復活」になります。運転期間の制限は、私たち国民を守るために原子炉等規制法に盛り込まれたものです。原発推進官庁である経産省が安全審査をすることが過酷事故の要因となった反省から原子力規制委員会が作られ、安全審査は原子力規制委員会の所管となりました。そのような経過を考えても、原子炉等規制法から原子力発電所の稼働制限期間を削除し、経産省が所管する電気事業法に規定を盛り込むという原発政策の福島第一原発事故以前への大転換は、国民の納得を得られるものではなく、福島原発事故の教訓を蔑ろにするもので決して許されません。
今回の改定では、電気事業法に運転期間の延長に関する認可が移され、①関連法令の制定・変更に対応するため、②行政処分、③行政指導、④裁判所による仮処分命令、⑤その他事業者が予見しがたい事由、によって運転停止を行っていた期間については運転期間から除外できる(電気事業法第27条の29の2第4項)とされました。しかし、どのような理由によって運転が停止していたとしても原発の経年劣化は進行し危険性とリスクは増大します。また、原子力規制委員会や裁判所の判断によって、それぞれ理由があって停止を余儀なくされたものを、経済産業省が「理由がなかった」とどうして認定できるのでしょうか。国民の命と暮らし、生業とふるさと、人格権を政府の判断で危険な老朽化した原発の人質にすることは認められません。
以上の理由により「GX脱炭素電源法」の強行可決に抗議し、その実施に反対します。
以上