2024年11月20日付で、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)に対し、寿都町の磯谷溶岩が第四紀火山であるという新知見を評価に反映し、磯谷溶岩から15キロ以内を除外するように求める要請書を提出しました。
しかし、NUMOは新知見について精査することなく、2024年11月22日に文献調査報告書を北海道知事、寿都町町長、神恵内村長に提出し、同報告書を公表しました。
これに対し2024年11月22日付で経済産業省とNUMOに対し抗議文を提出し、11月25日に記者会見を行いました。
経済産業省宛の抗議文
2024年11月22日
経済産業大臣 武藤容治 様
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川守弘
抗議文
11月22日に原子力発電環境整備機構(NUMO)が、寿都町の第四紀火山に関する新知見について精査することなく、寿都町と神恵内村の文献調査報告書を公表したことに対して、特定放射性廃棄物の最終処分を管轄する貴省に対し強く抗議します。
私たちは、岡村聡北海道教育大名誉教授が寿都町の磯谷溶岩が第四紀火山であることを明らかにしたにもかかわらず、原子力発電環境整備機構(NUMO)がその新知見を生かすことなく寿都町の文献調査報告書を公表しようとしていることを知り、11月20日付文書でNUMOを指導する責務を有する貴省に抗議し、NUMOが新知見を反映し、磯谷溶岩から半径15キロ以内を概要調査地域から除外するように指導することを要請しました。私たちの意見は、郵送のほか、貴省資源エネルギー庁のメールフォームからも送信しています。しかし先ほど述べたとおり、NUMOは新知見について精査することなく、本日11月22日に文献調査報告書を鈴木直道北海道知事、片岡春雄寿都町町長、高橋昌幸神恵内村長に提出し、同報告書を公表しました。
岡村氏の新知見は11月16日に日本火山学会で発表され、岡村氏は年内に論文も発表する予定でした。また、この新知見については、文献調査報告書案の審議にあたった経済産業省地層処分技術作業部会委員であり日本火山学会副会長の下司信夫九州大教授が「第四紀火山として扱うべきだ」「報告書の審議終了前の段階で知見が得られていれば、磯谷溶岩は除外対象になったはず」「概要調査に進む前に精査が必要」と述べています。(11月15日「北海道新聞」)。
今回発表された報告書を見ると、概要調査候補として示された地域は、神恵内村は「科学的特性マップ」そのまま、寿都町に至っては「科学的特性マップ」で「好ましくない」とされる場所までが候補地とされ、寿都町全域へと候補地区が広げられています。それに加えて今回、NUMOが岡村氏による新知見の論文発表を避けるように報告書の発表を行ったことを鑑みると、NUMOと貴省は、文献調査の評価にあたって概要調査地域をできる限り広くとったうえで次の段階である概要調査に進むという方針のもとに処分事業を進めているとしか思えません。そこには科学的知見に基づき、安全を可能なかぎり追及しようという姿勢は見られず、政治的意図のみが見て取れます。国は「最終処分に関する基本方針」で「最終処分に対する信頼性」という言葉を使っていますが、このようなやり方で「信頼性」が築けるわけがなく、私たち道民は、そもそも道民の意思を表した「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」があるにもかかわらず始められた、高レベル放射性廃棄物最終処分場建設に向けた調査に対し、不信と不安と怒りをいっそう募らせています。以上の理由から、私たちは、原子力発電環境整備機構(NUMO)が11月22日に寿都町と神恵内村の文献調査報告書を公表したことに対し、貴省に強く抗議します。
以上
NUMO宛の抗議文
2024年11月22日
原子力発電環境整備機構
理事長 山口 彰 様
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川守弘
抗議文
11月22日に貴機構が、寿都町の第四紀火山に関する新知見について精査することなく寿都町と神恵内村の文献調査報告書を公表したことに強く抗議します
私たちは、岡村聡北海道教育大名誉教授が寿都町の磯谷溶岩が第四紀火山であることを明らかにしたにもかかわらず、貴機構がその新知見を生かすことなく寿都町の文献調査報告書を公表しようとしていることを知り、11月20日付文書で貴機構に抗議し、貴機構が新知見を反映し、磯谷溶岩から半径15キロ以内を概要調査地域から除外するよう要請しました。しかし貴機構は新知見について精査することなく、本日11月22日、鈴木直道北海道知事、片岡春雄寿都町町長、高橋昌幸神恵内村長に文献調査報告書を提出し、同報告書を公表しました。
岡村氏の新知見は11月16日に日本火山学会で発表され、岡村氏は年内に論文も発表する予定でした。また、この新知見については、文献調査報告書案の審議にあたった経済産業省地層処分技術作業部会委員であり日本火山学会副会長の下司信夫九州大教授が「第四紀火山として扱うべきだ」「報告書の審議終了前の段階で知見が得られていれば、磯谷溶岩は除外対象になったはず」「概要調査に進む前に精査が必要」と述べています。(11月15日「北海道新聞」)。貴機構が作成した文献調査報告書には「マグマの貫入と噴出の基準」として「(イ)第四紀に活動した火山の活動中心からおおむね15キロメートル以内」を避けると明記しています。もし貴機構が自ら定めた基準を順守しようとするならば、新知見の発表を知りながら、それに背を向けて報告書を発表することなどあり得ないはずです。
今回発表された報告書を見ると、概要調査候補として示された地域は、神恵内村は「科学的特性マップ」そのまま、寿都町に至っては「科学的特性マップ」で「好ましくない」とされる場所までが候補地とされ、寿都町全域へと候補地区が広げられています。それに加えて今回、貴機構が岡村氏による新知見の論文発表を避けるように報告書の発表を行ったことを鑑みると、貴機構は文献調査の評価にあたって概要調査地域をできる限り広くとったうえで次の段階である概要調査に進むという方針のもとに報告書を作成したとしか思えません。そこには科学的知見に基づき、安全を最大限追及しようという姿勢は見られず、政治的意図のみが見て取れます。私たち道民は、そもそも道民の意思を表した「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」が存在するにもかかわらず貴機構が始めた高レベル放射性廃棄物最終処分場建設に向けた調査に対し、不信と不安と怒りをいっそう募らせています。
以上の理由から、私たちは貴機構に対し、岡村氏により寿都町の磯谷溶岩が第四紀火山であることが明らかになったにもかかわらず、本日11月22日に寿都町と神恵内村の文献調査報告書を公表したことに強く抗議します。
以上
参考リンク
核ごみ文献調査報告書 市民団体がNUMOに抗議文:北海道新聞デジタル
核ごみ文献調査報告書に市民グループ「客観的な指摘が無視されている」と抗議文 NUMOは概要調査へ進んだ場合「学術論文を確認したい」北海道寿都町・神恵内村|HBC北海道放送
「NUMO指摘無視」火山の影響考慮せずと市民団体が抗議文「核のごみ」寿都・神恵内村の文献調査報告書提出で|HTB北海道ニュース