2025年8月8日、北海道庁において、鈴木直道北海道知事宛に海道電力泊原子力発電所3号機の再稼働に同意しないよう要請する文書を提出しました。
同日、要請書を提出後に記者会見を行いました。
北海道知事への要請書
要請書
2025年8月8日
北海道知事
鈴木 直道 様
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川 守弘
原子力規制委員会による北海道電力泊原子力発電所3号機の安全性審査が科学的知見を十分に踏まえたものとは言えず、審査書承認が同発電所の安全性を担保するものではないことから、道民の安全のため、泊原子力発電所3号機の再稼働に同意されないよう要請いたします。
拝啓
時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。また、常日頃北海道のためにご尽力いただいておりますことに深甚より感謝いたします。
私たち「泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会」は北海道内で様々な分野で活動する約70の団体が集まり北海道の豊かな大地と子供たちの未来を守るために、相互に連絡をとりながら活動しております。
さて、原子力規制委員会(以下「規制委員会」)は7月30日、北海道電力(以下「北電」)泊原子力発電所3号機(以下「泊3号機」)の安全対策が新規制基準に適合しているとする審査書を決定し、それを受けて8月1日に政府は道と立地4町村に同意を要請しました。しかし、私たちは規制委員会の近年の審査には大きな問題があり、規制委員会が審査書を決定したことをもって泊3号機の安全性が担保されたことにはならないと考えています。
下記6点にわたり私たちが考える規制委員会の審査の問題点をまとめました。また参考資料として泊原発の安全性に科学者の立場から警鐘を鳴らし続けてきた「行動する市民科学者の会・北海道」(事務局長:小野有五北海道大学名誉教授)が発行した「知ってましたか? いま泊原発の審査をやりなおすべき8つの理由」と、先日、市民科学者の会がニセコ・雷電火山群からの火砕流が泊原発に到達した可能性を指摘したことを報道した北海道新聞の記事を添付いたします。
このように規制委員会による審査が科学的知見を十分に踏まえたものとは言えず、審査書了承が泊3号機の安全性を担保するものではないことから、貴職におかれましては、道民の安全のため、原子力発電所の再稼働に同意されないよう、要請いたします。
敬具
記
1.積丹半島沖の海底活断層を過小評価
北電は積丹半島沖合の活断層の存在自体を認めていません。しかし、積丹半島西部各地に地震性隆起の可能性を示す離水ベンチなどが存在するため、検討用地震として沖合に32㎞までの活断層を仮定し、予想される規模は、M7.3としました。しかし、積丹半島沖合の海底活断層を変動地形学的手法によって検討すると、長さは60~70㎞、地震規模はM7.8が想定されています(渡辺・中田 ・鈴木 2013)。
2.変動地形学的手法を軽視
海底活断層に対する北電の見解は主に地球物理学的手法である音波探査の手法で得た結果に基づくものですが、規制委員会は自ら定めた「審査ガイド」において、地球物理学的手法と、変動地形学的手法を独立に評価すべきことを規定しているにもかかわらず、北電の考え方を容認しています。なお、2024年の能登半島地震では、変動地形学的手法により実際の震源断層(約150㎞)に近い海底活断層の存在を十数年前に指摘しており(後藤 2014)変動地形学的手法の重要性が実証されています。
3.最大1.28mの隆起、それでも安全は損なわれない
また、北電は規制委員会の会合資料で海底活断層が動いた場合、岩盤が最大1.28m隆起すると想定していますが、敷地全体が持ち上がるため原子炉などの安全は損なわれないとの見解で、規制委員会もこれを大筋了承しています。しかし原子炉本体以外の原発関連重要施設は前浜の埋め立て地に建っており、大きな地震が来た場合、不等沈下や液状化が発生して配管その他に重大な損傷を与えることが予想され、最悪の場合は冷却機能を失う可能性があります。
4.敷地内活断層の可能性
泊原発敷地内断層のうちF1、F4、F11の三つは活断層の可能性があります(渡辺・小野 2018)。F1断層は、規制委自身が2018年に活断層であることを認定していましたが、2020年以降、北電のずさんな主張を認めて方針転換をしました。F4断層について北電は調査をせず、F11断層についてもまともな調査をしていません。
5.「泊スペシャル」と他電力の助けを借りての審査対応
規制委員会の求める課題に北電が対応できないことに業を煮やした規制委員会は、「泊スペシャル」として、事前に技術的課題を整理し、北海道電力に明確に提示する形で審査を進めました。また、北電は審査を終わらせた他電力の力を借りて審査に臨みました。自力で審査に臨めない電力会社に、原発を稼働させ、万一の事故に対応する能力があるのか大変不安です。
6.審査の加速化のため新港の切り離しを容認
規制委員会は北海道電力の申し出を受けて、安全性よりも審査を進めることを優先し、核燃料を積んだ船が出入りする新港の建築を容認し、それを審査対象から外しました。
以上