2021年12月、当会は放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を室蘭市内の中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)北海道事業所に搬入し処理する計画に対し、反対の意志を示すとともに放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を受け入れないよう北海道、室蘭市、環境省へ要請しました。
本年、2022年6月1日、室蘭市で行われた北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議において、事業者(JESCO)が本年8月上旬にはコンテナ5台分の廃棄物を持ち込み、2週間ほどかけて処理する。処理期間中は定期的にモニタリング監視(空間線量率1日3回)をするとの方針を示しました。
これを受け、2022年6月27日、当会は北海道知事、室蘭市長、環境大臣に対し、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を室蘭市に持ち込まないこと及び道民に対する説明会の開催を求める要請書を提出しました。
要請書「放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を室蘭市に持ち込まないこと及び道民に対する説明会の開催を要請します」
今回北海道知事、室蘭市長、環境大臣に対して提出した要請書の内容は以下の通りです。
北海道知事宛 要請書
2022年6月27日
北海道知事 鈴木直道 様
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川守弘
放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を室蘭市に持ち込まないこと及び
道民に対する説明会の開催を要請します
私たちは、北海道電力泊原発の再稼働と北海道への「核ゴミ」の持ち込みを止めるために、北海道内で脱原発、自然保護、食の安全など様々な分野で活動している69団体が集まり組織している連絡会です。
昨年、令和3年(2021年)12月に、私たちは、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を室蘭市内の中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)北海道事業所に搬入し、処理する計画に対し、反対の意志を示すとともに、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を受け入れないよう要請しました。
環境省はこの事業実施に際し、「放射性物質汚染対処特措法」を適用すると表明しました。運び込まれ処理される予定の廃棄物について私たちは下記の3点を指摘し、貴職に対し、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物の搬入をやめさせるよう要請書を提出しました。
- 同廃棄物に対しては既に「PCB特措法」が、PCB処分時に発生するダイオキシン類に対しては「ダイオキシン類対策特措法」の適用があり、この上にさらに同法の適用をするのは法の濫用とでもいうべきものであること
- 「原子炉等規制法」に基づけば通常100Bq/kg以下である放射性セシウム汚染廃棄物のクリアランス基準を8,000Bq/kgまで引き上げたことは実質的に大幅な規制緩和であり、この通常の80倍もの基準の安全性が医学的に証明されていないこと
- 震災瓦礫や放射性廃棄物は環境保全上極力現地から持ち出さないことが原則であること
私たちは、この事業開始に拠って、北海道がさまざまな放射性廃棄物の処理、処分、廃棄場所となることが慣例化してしまう未来を危惧し、これら計画の実施をとりやめるべきと考えます。
本年、令和4(2022)年6月1日、室蘭市で行われた北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議において、事業者(JESCO)が、本年8月上旬にはコンテナ5台分の廃棄物を持ち込み、2週間ほどかけて処理する。処理期間中は定期的にモニタリング監視(空間線量率1日3回)をするとの方針を示しました。
この方針については同会議委員からも「道民への説明や理解が醸成されていない。廃棄物の搬入を延期して市民に納得してもらう状況を作るべきだ」との意見が出されています。
また、北海道がこの事業の受け入れを許諾する判断をした経過について情報開示請求を行った結果、受け入れ許諾決定のための会議が開かれておらず、従って会議録もないことが分かりました。また本事業に対し不安と懸念を持つ道民意見に対し、北海道知事からは要請書提出後から今日に至るまで十分な説明がありませんでした。民意を配慮しないまま事業が開始されることは到底受け入れることができません。
以上の点から貴職に対し、以下のように申し入れます。
記
- 一、PCB廃棄物を室蘭市内の中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)北海道事業所に搬入・処理する計画実施を中止させてください。
- 一、道は、国、室蘭市、事業者とともに、道民への説明の場を持ってください。
貴職におかれましては、北海道の未来のために、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物の受け入れを中止させるため力を尽くされるよう、心からお願い申し上げます。
この要請に対しての貴職の見解とその理由を7月10日までにお示しください。
以上
室蘭市長宛 要請書
2022年6月27日
室蘭市長 青山 剛 様
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川守弘
放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を室蘭市に持ち込まないこと及び
道民に対する説明会の開催を要請します
私たちは、北海道電力泊原発の再稼働と北海道への「核ゴミ」の持ち込みを止めるために、北海道内で脱原発、自然保護、食の安全など様々な分野で活動している69団体が集まり組織している連絡会です。
昨年、令和3年(2021年)12月に、私たちは、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を室蘭市内の中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)北海道事業所に搬入し、処理する計画に対し、反対の意志を示すとともに、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を受け入れないよう要請しました。
環境省はこの事業実施に際し、「放射性物質汚染対処特措法」を適用すると表明しました。運び込まれ処理される予定の廃棄物について私たちは、下記の3点を指摘し、貴職に対し、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物の搬入をやめさせるよう要請書を提出しました。
- 同廃棄物に対しては既に「PCB特措法」が、PCB処分時に発生するダイオキシン類に対しては「ダイオキシン類対策特措法」の適用があり、この上にさらに同法の適用をするのは法の濫用とでもいうべきものであること
- 「原子炉等規制法」に基づけば通常100Bq/kg以下である放射性セシウム汚染廃棄物のクリアランス基準を8,000Bq/kgまで引き上げたことは実質的に大幅な規制緩和であり、この通常の80倍もの基準の安全性が医学的に証明されていないこと
- 震災瓦礫や放射性廃棄物は環境保全上極力現地から持ち出さないことが原則であること
私たちは、この事業開始に拠って、北海道がさまざまな放射性廃棄物の処理、処分、廃棄場所となることが慣例化してしまう未来を危惧します。この計画の実施は、室蘭市だけでなく、近隣自治体はもとより北海道全体の未来に影響を与えるものです。
本年、令和4(2022)年6月1日、室蘭市で行われた北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議において、事業者(JESCO)が、本年8月上旬にはコンテナ5台分の廃棄物を持ち込み、2週間ほどかけて処理する。処理期間中は定期的にモニタリング監視(空間線量率1日3回)をするとの方針を示しました。
この方針については同会議委員からも「道民への説明や理解が醸成されていない。廃棄物の搬入を延期して市民に納得してもらう状況を作るべきだ」との意見が出されています。
また、北海道がこの事業の受け入れを許諾する判断をした経過について情報開示請求を行った結果、受け入れ許諾決定のための会議が開かれておらず、従って会議録もないことが分かりました。また貴職からは要請書提出後から今日に至るまで、本事業に対し不安と懸念を持つ道民に対する説明が一切ありませんでした。道民の意思に配慮しないまま事業が開始されることは到底受け入れることができません。
以上の点から貴職に対し、以下のように申し入れます。
記
- 一、PCB廃棄物を室蘭市内の中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)北海道事業所に搬入・処理する計画実施を中止させてください。
- 一、室蘭市は、国、道、事業者とともに、道民への説明の場を持ってください。
貴職におかれましては、北海道の未来のために、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物の受け入れを中止させるため力を尽くされるよう、心からお願い申し上げます。
この要請に対しての貴職の見解とその理由を7月10日までにお示しください。
以上
環境大臣宛 要請書
2022年6月27日
環境大臣 山口 壯 様
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川守弘
放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を室蘭市に持ち込まないこと及び
道民に対する説明会の開催を要請します
私たちは、北海道電力泊原発の再稼働と北海道への「核ゴミ」の持ち込みを止めるために、北海道内で脱原発、自然保護、食の安全など様々な分野で活動している69団体が集まり組織している連絡会です。
昨年、令和3年(2021年)12月に、私たちは、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を室蘭市内の中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)北海道事業所に搬入し、処理する計画に対し、反対の意志を示すとともに、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を受け入れないよう要請しました。
環境省はこの事業実施に際し、「放射性物質汚染対処特措法」を適用すると表明しました。運び込まれ処理される予定の廃棄物について私たちは下記の3点を指摘し、貴職に対し、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物の搬入をやめさせるよう要請書を提出しました。
- 同廃棄物に対しては既に「PCB特措法」が、PCB処分時に発生するダイオキシン類に対しては「ダイオキシン類対策特措法」の適用があり、この上にさらに同法の適用をするのは法の濫用とでもいうべきものであること
- 「原子炉等規制法」に基づけば通常100Bq/kg以下である放射性セシウム汚染廃棄物のクリアランス基準を8,000Bq/kgまで引き上げたことは実質的に大幅な規制緩和であり、この通常の80倍もの基準の安全性が医学的に証明されていないこと
- 震災瓦礫や放射性廃棄物は環境保全上極力現地から持ち出さないことが原則であること
私たちは、この事業開始に拠って、北海道がさまざまな放射性廃棄物の処理、処分、廃棄場所となることが慣例化してしまう未来を危惧し、これら計画の実施をとりやめるべきと考えます。
本年、令和4(2022)年6月1日、室蘭市で行われた北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議において、事業者(JESCO)が、本年8月上旬にはコンテナ5台分の廃棄物を持ち込み、2週間ほどかけて処理する。処理期間中は定期的にモニタリング監視(空間線量率1日3回)をするとの方針を示しました。
この方針については同会議委員からも「道民への説明や理解が醸成されていない。廃棄物の搬入を延期して市民に納得してもらう状況を作るべきだ」との意見が出されています。
また、北海道がこの事業の受け入れを許諾する判断をした経過について情報開示請求を行った結果、受け入れ許諾決定のための会議が開かれておらず、従って会議録もないことが分かりました。また本事業に対し不安と懸念を持つ道民意見に対し、北海道知事からは要請書提出後から今日に至るまで十分な説明がありませんでした。民意を配慮しないまま事業が開始されることは到底受け入れることができません。
以上の点から貴職に対し、以下のように申し入れます。
記
- 一、PCB廃棄物を室蘭市内の中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)北海道事業所に搬入・処理する計画実施を中止してください。
- 一、国は、北海道、室蘭市、事業者とともに、道民への説明の場を持ってください。
貴職におかれましては、北海道の未来のために、放射性物質に汚染されたPCB廃棄物の受け入れを中止させるため力を尽くされるよう、心からお願い申し上げます。
この要請に対しての貴職の見解とその理由を7月10日までにお示しください。
以上
回答
要請書に対する回答を以下に掲載します。
室蘭市からの回答
令和4年7月8日
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川守弘 様
室蘭市長 青山 剛
令和4年6月27日付け要請書についての回答について
令和4年6月27日付けで提出のありました要請(放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を室蘭市に持ち込まないこと及び道民に対する説明会の開催を要請します)について、下記のとおり回答いたします。
記
このたびの福島県対策地域内の高濃度PCB
廃棄物処理に係る、住民の皆様への説明につきましては、本市は、国に対し、地元住民への丁寧な説明を求めてきており、これまで複数回にわたる国の住民説明会に、本市としてもすべて参加させていただき、住民の皆様からのご質問やご意見等をしっかりとお聞かせいただいたほか、監視円卓会議や市議会での議論を重ねるなど、住民対話や情報発信等に努め、取り組んでまいりました。
また、本市では、地元自治体として北海道と連携し、現地確認や有識者からのご意見も伺う中で安全性の確認を行うとともに、これまでの一連の議論等を踏まえ、それらを総合的に検討した上で、国の計画の受入れを判断させていただいたものであります。
さらに、国に対しましては、これまで地域住民等の皆様方よりいただいたご意見などを踏まえ、更なる安全確認体制の強化等についての対応を強く求め、国からは、本市の申し入れ事項を確実に履行するとともに、処理方針に従い、地元の生活環境保全に影響を及ぼすことがないよう、安全に処理を進める旨の回答をいただいており、本市としても今後、これら国の安全確認体制等について、北海道と連携を図り、必要に応じて、立会・調査等を実施してまいります。
このたびの国の計画の受入れに至った経緯や対応状況などにつきましては、現在、本市のホームページでも公開のうえ、広くお知らせしているところでありますが、今後、本市としましては、引き続き、安全対策や情報公開の確実な実施などを国に求めていくとともに、国や北海道によるモニタリング結果等の速やかな情報発信に努めるなど、地域住民の皆様の安全・安心の確保に取り組んでまいりますので、ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(担当:室蘭市生活環境部環境課)
北海道からの回答
令和4年(2022年)7月8日
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川守弘 様
北海道環境生活部環境保全局長
要請書に対する回答について
令和4年(2022年)6月27日付けで貴会から提出のあった要請(放射性物質に汚染されたPCB廃棄物を室蘭市に持ち込まないこと及び道民に対する説明会の開催を要請します)について、次のとおり回答します。
記
福島県対策地域内の高濃度PCB廃棄物の処理は、国の責任のもと実施されるものであることから、道では、昨年4月、室蘭市とともに環境省を訪れ、地元への丁寧な説明を求めたところです。その後、国は、複数回にわたる住民説明会や監視円卓会議などを通じて、住民の皆様への説明を行ってきたものと承知しています。
道では、この度の国の処理方針については、道議会での議論などを踏まえながら、国から地元住民の皆様への説明や、道が室蘭市とともに実施した職員や専門家による現地確認の結果に加え、処理の安全性などに関する有識者からのご意見や受入を表明した地元室蘭市のご意向などを総合的に検討した結果、国による十分な安全性の確保とともに、モニタリングや情報公開が適切に行われることを前提に、妥当なものと認め、この旨を昨年12月に国に伝えました。これに対し国からは、地元の生活環境保全に影響を及ぼすことがないよう、安全に処理を進める旨の回答をいただいています。
道としては、地元住民の皆様の中に不安や懸念の声もあることを承知しておりますことから、引き続き、安全対策や情報公開の確実な実施などを国に求めていくとともに、道独自のモニタリングを行うほか、ホームページや監視円卓会議において情報の発信に努めるなど、住民の皆様の安全や安心が確保されるよう取り組んでまいります。
(循環型社会推進課大気環境係)