2024年6月11日、経済産業省に対し「寿都町・神恵内村での文献調査報告書(案)の審議のあり方についての要請」を提出しました。
2024年6月11日
経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部放射性廃棄物対策課
課長 下堀 友数 様
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会
代表 市川守弘
寿都町・神恵内村での文献調査報告書(案)の審議のあり方についての要請
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会では、寿都町・神恵内村における文献調査報告書(案)の審議が、北海道の未来に大きな影響を与えることから、地層処分技術WGにおける審議のあり方について、1.次回以降も声明呼びかけ人をはじめ寿都町・神恵内村での調査を進めることに対し疑問を持つ有識者を出席させること、2.その際、当該有識者の発言時間を十分にとり、WGの委員との活発な議論を実現させること、3.「文献調査報告書(案)」を了承せず、概要調査に進むことを認めないという結論もありうるという前提で審議を進めることの以上3点を求める要望書を4月22日付で提出しました。しかしこの3点の要望は全く検討されることなく、第4回WGにおいて「地層処分に関する声明を踏まえた技術的・専門的観点の審議報告(案)」が提示されました。私たちは住民の声に真摯に向き合おうとしない寿都町・神恵内村での文献調査報告書(案)の審議のあり方に疑義を呈し、ここに改善を求めます。
また、第2回WGにおける参考人の意見陳述は、参考人に与えられた時間が余りに制限されていたことなど私たちにとって不満足なものでしたが、地元の地質をよく知る参考人からの意見をうけWGの委員からは、黒松内低地断層帯について「海域も含めて、その線上は概要調査地区から外すことが望ましい」(長田委員意見書)等本質的な部分において文献調査報告書の修正を求める意見がありました。また、これまでのWGおよび特定放射性廃棄物小委員会においては、多くの委員から、寿都町における文献調査の対象となった地域全域が概要調査の対象となっていること等に対する疑問が述べられてきており、「地質学の文献調査では、基本的に全ての情報が既存文献に出ていることはない」こと、「駄目な場所は早めに駄目と言える建て付けに出来ないか」といった意見がWG資料にも記載されています。しかし「審議報告(案)」の「まとめ」では、これら「文献調査報告書(案)」の根本にかかわる意見は、「NUMOが現地で調査を実施する際には」という文言を加えたうえで「リスクの高い部分や処分地として適さない地点を積極的に調査し排除していくスタンスを示すことも必要」とまとめられており、あたかも委員からの意見が文献調査報告書(案)に対するものではなく、これから概要調査に進んだ場合のスタンスに対する意見であったようにすり替えられています。
このように、一度文献調査を受け入れた地域の調査は、何が何でも概要調査まで進めるという現在の経産省とNUMOの姿勢は、住民の安全・安心への配慮からはかけ離れており、私たち北海道民をいっそう不安にさせるものです。今後、地層処分技術WGおよび特定放射性廃棄物小員会における会合が、科学的で多様な意見が反映される審議の場となるよう、以下のように要望いたします。
記
- 次回の特定放射性廃棄物小委員会では、第4回WGの「まとめ」をそのまま承認することなく、第2回WGでの参考人3名の意見、第3回WGへの岡村参考人からの「第2回地層処分技術WGの国およびNUMOの考え方への意見」とそれに対する各委員の意見を再検討し、十分に議論を深めてください。
- 審議のまとめを委員長と事務局に一任するという形をとるのではなく、委員同士が議論を重ねて結論を導いてください。
- 今後も地層処分技術WG会合および特定放射性廃棄物小委員会に、声明呼びかけ人をはじめ寿都町・神恵内村での調査を進めることに対し疑問を持つ有識者を出席させ、委員との活発な議論を実現させてください。
- 「文献調査報告書(案)」を了承せず、概要調査に進むことを認めないという結論もありうるという前提で、審議を進めてください。
以上
参考記事
2024/4/22「地層処分技術WGにおける審議のあり方についての要望」を提出
参考リンク
特定放射性廃棄物小委員会 地層処分技術ワーキンググループ (METI/経済産業省)
参考動画
総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会特定放射性廃棄物小委員会地層処分技術WG(第4回)
総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会特定放射性廃棄物小委員会地層処分技術WG(第3回)
総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会特定放射性廃棄物小委員会地層処分技術WG(第2回)